ワカメチワワの司法試験ブログ

予備ルートからの合格者のチワワが受験生時代の遺産を残していきます

2017-12-01から1ヶ月間の記事一覧

物上代位と相殺(基本),相殺権の濫用

今回は事例問題形式にしたいと思います。 1 問題 Aが,Bに対して融資をする際に,Bの所有する建物(以下,「本件建物」という。)を目的として,抵当権の設定を受け,抵当権設定登記手続を完了した。本件建物は,Aが抵当権の設定を受ける以前から,Bが…

時効完成後の債務の承認と時効援用権の喪失

債権の消滅時効の完成後に,債務者が債務を承認した場合には,その債務者は,たとえ時効完成の事実を知らなかったとしても,もはや時効援用権を喪失するというのが最高裁判例(最判昭和41年4月20日民集20巻4号702頁)の立場ですね。 それでは,次…

刑法総論の体系の意識・詐欺罪の実行行為

刑法各論分野で学ぶ罪を検討する際に,多くの受験生は,刑法総論の体系を意識することなく漫然と要件を検討してしまっています。逆に,合格する受験生は,意識的であれば無意識的であれ,刑法総論の体系を念頭において検討する姿勢があらわれているところで…

裁判上の自白の効力

1 裁判上の自白の効力 裁判上の自白については,裁判所拘束力,証明不要効,撤回禁止効という各効力が生じることは,ほとんどの受験生がおさえているところかと思います。ところが,自白の撤回の可否が問われた時に,裁判上の自白の効力について答案上でい…

解除に関する諸問題

解除については,債権法改正でも大きく議論されたところでもあり,多くの問題点があるところです。気にしないと気にならないいくつかの点に触れていきたいと思います。 1 債務者の帰責性要件の要否 債務不履行解除をするために,現行民法では債務者の帰責性…

会社法423条1項に基づく損害賠償請求権の譲渡

ここ最近なんだか会社法だらけになってしまっている気がしますが,例によって考えてみましょう。 A社の取締役であるYの任務懈怠責任を追及するために,A社の株主Xが株主代表訴訟を提起しようとしているとします。この状況下において,A社は,A社がYに…

会社法361条1項の趣旨

会社法361条は,取締役の報酬について株主総会決議により決定する旨規定しています。この条文の趣旨について,多くの受験生がおさえている趣旨は不十分なのではないかと思います。 多くの受験生は,単に「お手盛り防止」とだけおさえているのでしょうが,…

遺産分割協議・相続放棄と詐害行為

少しは受験生の方々のお役に立とうという初心に帰り,詐害行為取消権と相続法との関係についてみてみたいと思います。 遺産分割協議が詐害行為になるとする判例がある一方,相続放棄が詐害行為とはならないとする判例があります。その違いをしっかりと説明で…

民事訴訟法5条9号の「不法行為があった地」

論文試験との関係ではほとんど関係ないと思われますが,不法行為に関する訴えについての管轄のお話です。 民訴法5条9号によれば,「不法行為に関する訴え」の管轄は,「不法行為があった地」にも認められるとされています。もっとも,ここでいう「不法行為…